こんにちは。皆さんはコーヒーを飲みますか?「コーヒーが健康に良いのか悪いのか」については、これまで数多くの研究報告があります。まだ、はっきりとした結論は出ておりませんが、健康に良いとする研究結果が多い印象です。
一方、コーヒーを「いつ飲めば良いか」ということを調査した研究は、あまりありませんでした。今回は、「コーヒーを飲むタイミングが健康に影響するのか」について調べた研究結果が発表されましたので、ご紹介したいと思います。
モーニングコーヒーが全ての死亡リスクを低下させる可能性
2025年1月8日、European Heart Journalに、コーヒーを飲むタイミングと死亡リスクの関係性を調査した研究報告が掲載されました。アメリカで行われた研究で、1999年〜2018年に「米国国民健康栄養調査(NHANES)」に参加した成人40,725人を対象とした大規模な観察研究(コホート研究)です。カフェイン入りとデカフェのコーヒー摂取量や睡眠時間などによる影響を調整し、コーヒーを飲むタイミングと死亡リスクとの関連を評価しました。
その結果、朝(午前4時〜午前11時59分)にコーヒーを飲む人は、コーヒーを飲まない人と比べて、全ての原因による死亡リスクが16%低下していました。特に、心筋梗塞などの心血管系の病気で死亡するリスクは31%も減少していました1)。
一方、1日中コーヒーを飲む人では、このようなリスクを低下させる効果は見られませんでした。

では、1日当たり、どの程度のコーヒーを飲むのが適切なのでしょうか?上図を見ると、全ての原因(A)および心血管系の病気による死亡(B)ともに、朝に2〜3カップ飲むことで死亡リスクが最も減少傾向にあることが分かります。
以上のことから、「コーヒーは朝に2〜3カップくらい飲む」のが適切と言えるでしょう。
A pharmacist’s opinion
ご紹介した研究は、コーヒーを飲むタイミングが死亡リスクに関係する可能性があることを示唆した意義あるものであると思います。しかし、少なくとも以下の3点で注意が必要です。
① 観察研究(コホート研究)であること
② アジア人(日本人)の割合が少ないこと
③ 無理にコーヒーを飲むことを推奨するものではないこと
まず、①についてですが、観察研究とは「研究者などが介入することなく、自然な状況で生じる現象を観察してデータを収集する研究」のことです。様々な要因によって影響を受けることがあるため、「根拠のレベル」は中程度とされており、研究結果が必ずしも正しいとは限りません。
次に、②です。この研究におけるアジア人の割合は9.9%未満と少ないです。人種が違っても同様の結果になることはありますが、今回の結果が日本人に直接当てはまるかどうかは分かりません。
最後に③ですが、コーヒーが好きな方もいれば、そうではない方もいます。人によっては、コーヒーを飲むと心臓がドキドキすることもあるでしょう。身体の反応には個人差があるため、無理にコーヒーを飲むべきではありません。
以上のことに注意が必要ですが、普段からコーヒーを飲まれる方は、飲むタイミングを意識してみると良いかもしれません。
まとめ
この研究は、コーヒーを飲むタイミングと死亡リスクとの関連を評価した意義あるものです。今回の結果を踏まえ、コーヒーは朝(午前4時〜午前11時59分)に2〜3カップ程度飲むのが良いかもしれません。ただし、コーヒーの好みや感受性は人によって異なるので、無理のない範囲で嗜むようにしましょう。
気になることがあれば、ご質問を受け付けておりますので、どうぞお気軽に「お問い合わせ」からご連絡下さい。
参考文献など
1) Xuan Wang(2025)”Coffee drinking timing and mortality in US adults” European Heart Journal, 46: 749-759.